症例
巨大卵巣腫瘍により顕在化した右横隔膜ヘルニア嵌頓,絞扼性イレウスの1例
藤田 久子
1
,
木村 博昭
1
,
片山 恵里
1
,
糸井 瑞恵
1
,
新井 未央
1
,
神山 正明
1
,
小林 壮一
2
,
平敷 好一郎
1
1君津中央病院産婦人科
2君津中央病院外科
pp.979-984
発行日 2016年10月10日
Published Date 2016/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208884
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▶要約
症例は67歳,2回経産婦.心窩部痛を主訴に近医受診した.下腹部の巨大腫瘤と右胸水を認め入院したが,翌日呼吸困難,嘔吐が出現し当院へ救急搬送となった.CT検査では,右無気肺,胸水貯留と肝臓右側に圧排された腸管ガス像を認めた.また,下腹部には長径20cm大の囊胞性腫瘤を認め巨大卵巣腫瘍による腸閉塞を疑われ婦人科紹介となった.経腹的に卵巣囊腫内容を2,000mL排液し,胸腔穿刺にて血性胸水を300mL排液するも,呼吸障害は増悪し,再度撮影した胸腹部CT検査から右横隔膜ヘルニアによる絞扼性イレウスの疑いとなり,緊急開腹手術を施行した.右横隔膜背側に40×30mmのヘルニア門を認め小腸が脱出し,絞扼性イレウスの状態であり,肝臓の一部は胸腔内に突出していた.骨盤内腫瘤は卵巣成熟囊胞性奇形腫であった.回盲部切除と横隔膜修復,両側付属器切除を施行した.術後経過は良好で術後14日目に退院した.
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