増刊号 ─知りたい最新情報がすぐわかる!─不妊・不育症診療パーフェクトガイド
8.不育症の検査・診断
抗リン脂質抗体症候群の診断法と不育症への影響の考え方
佐藤 善啓
1
,
杉 俊隆
1
1杉ウイメンズクリニック不育症研究所
pp.326-330
発行日 2016年4月20日
Published Date 2016/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208751
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Point
◉抗リン脂質抗体は歴史的に梅毒反応偽陽性として発見されたため,抗カルジオリピン(CL)抗体が最も有名である.
◉抗リン脂質抗体といってもその目標抗原の多くはリン脂質ではなく,さまざまなリン脂質結合蛋白であり,それぞれの病原性およびその病態は異なると考えられる.
◉血栓症や妊娠中・後期子宮内胎児死亡のリスクが高いのは,抗CL-β2GPI複合体抗体と希釈ラッセル蛇毒時間で測定したループスアンチコアグラント(LA)が両者とも陽性の場合であるといわれている.
◉妊娠初期流産を繰り返すタイプの不育症患者は,抗リン脂質抗体症候群の診断基準にある抗CL抗体やLAが陽性のことは少なく,むしろ抗ホスファチジルエタノールアミン(PE)抗体をもつことが多い.
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