原著
母子感染予防のための尖圭コンジローマ合併妊婦に対するレーザー蒸散術の有用性とウイルス学的検討
高橋 樹里
1
,
田口 歩
1
,
川名 敬
1
,
長阪 一憲
1
,
足立 克之
1
,
永松 健
1
,
大須賀 穣
1
,
藤井 知行
1
1東京大学医学部附属病院女性診療科・産科
pp.697-702
発行日 2015年7月10日
Published Date 2015/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208482
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
要約
目的 : 尖圭コンジローマ合併妊婦から生まれた児では,HPV6/11型による母子感染症(再発性呼吸器乳頭腫症 : JORRP)を発症する可能性がある.本研究では,コンジローマ合併妊婦に対するレーザー蒸散術の有用性を検討した.
方法 : 当該施設倫理委員会承認のもと,妊娠中にCO2レーザー蒸散術を施行した尖圭コンジローマ合併妊婦28例につき母子の臨床経過を調べた.21例については児の咽頭HPVのウイルス学的評価を行った.
結果 : 28例で術後合併症はなかった.全例が術後の分娩時に肉眼的病変は消失し,25人が正期産で経腟分娩となった(産科適応の帝王切開が3例).観察期間中JORRPを発症した児はいなかった.児咽頭HPV検査ではHPV6/11型は検出されなかった.
結論 : 尖圭コンジローマ合併妊婦に対するレーザー蒸散術は,安全かつ全例経腟分娩が可能な状態にできた.児咽頭にはHPV6/11型が感染しないことがウイルス学的に示された.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.