今月の臨床 治療にてこずる感染症
難治性症例の経験
28.尖圭コンジローマ
田中 圭
1
,
深沢 一雄
,
岩崎 秀昭
,
稲葉 憲之
Kiyoshj Tanaka
1
1千葉大学医学部産科婦人科
pp.1115
発行日 1993年9月10日
Published Date 1993/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901453
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尖圭コンジローマは主として外性器に見られるウイルス性疣贅のうちで最も一般的なもので,HPV6型,11型の感染によるとされている。尖圭コンジローマの治療は大きく分けると薬物療法と外科的療法の2種類がある。薬物療法にはポドフィリン,5—FU,ブレオマイシン軟膏,IDU軟膏の局所療法が主体であるが,インターフェロンの局注も試みられている。また外科的療法は,切除,赤外線焼灼,電気焼灼,液体窒素やドライアイスによる凍結療法,YAGやCO2レーザー蒸散療法がある。また,特殊な治療法ではあるがワクチン投与などの免疫療法が難治性の本疾患に有効であるとの報告もある。難治性とは,病変が多発している,局所療法が困難な部位に存在する,治療に抵抗する,他の重篤な疾患と合併している,などが考えられる。
1989年4月から1992年3月までの当科STD外来においてレーザー焼灼を行った尖圭コンジローマは28症例で26症例(92%)が治癒している。また部位別の治癒率では子宮頸部と外陰部両方に発生したものが67%の治癒率でやや劣っている。今回は外科的療法(YAGレーザー)が奏効した多発尖圭コンジローマの症例を呈示する。
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