原著
若年者の類内膜嚢腫(子宮内膜症性卵巣嚢腫)の臨床病理学的特性
舟山 幸
1
,
滝沢 憲
1
,
井口 登美子
1
,
武田 佳彦
1
Sachi Funayama
1
1東京女子医科大学産婦人科学教室
pp.997-1001
発行日 1989年10月10日
Published Date 1989/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208095
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1985年1月から1988年8月の間に手術が行われ病理組織学的に類内膜嚢腫(子宮内膜症性卵巣嚢腫endometrial cyst)と診断された30歳未満の若年者52例を検討し,以下の成績を得た。
1)10代,20代の若年者子宮内膜症では子宮腺筋症を伴わない類内膜嚢腫として発見する場合が多い。
2)自覚症状は月経困難症が多く,月経量や周期の異常は少ない。症状自覚から手術までには数年を要している。
3)月経困難症の程度と術前血清CA125値,癒着の有無とは相関していない。
4)少数ではあるが,50例中8例に癒着のない症例を認めた。それらの嚢腫の大きさは手拳大以上のものが多く,術前血清CA125値陽性率も高かった。
以上から,若年者類内膜嚢腫は卵巣表層上皮の化生により発生するものが少なくないと推察された。
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