今月の臨床 新生児外科の最前線—産科医としての必須知識
外科治療の現況と産科医へのアドバイス
3.腹・背部疾患
6)卵巣嚢腫
八塚 正四
1
,
岡松 孝男
1
1昭和大学病院小児外科
pp.284-287
発行日 2000年3月10日
Published Date 2000/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903964
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超音波画像診断技術の進歩によって,子宮内の「赤ちゃんの顔」までが描出されるようになった今1),ますます“患児としての胎児”に対する管理の重要性が高まりつつある.日本小児外科学会の事業の一つである5年ごとの新生児外科全国集計2)によれば,出生前診断施行率の高い疾患には,卵巣嚢腫,多嚢胞性異形成腎,水腎・水尿管症,胎便性腹膜炎,膀胱腸裂などが挙がっており,腹部の占拠性嚢胞性疾患が発見されやすいことがこの集計結果からもうかがい知ることができる.
本稿では,これらのうち比較的遭遇しやすく,しかも周産期の治療方針に十分な配慮が必要な卵巣嚢腫(以下,本症)について述べる.本症の発生頻度は2,625出生に1例とされ3),周知のごとく,出生後は約1/2〜2/3が自然退縮するという特色をもつ4,5).
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