グラフ 目で見る解部—性器系の血管構築
3.胎盤
高木 繁夫
1
,
近藤 泰正
1
1日本大学医学部産科婦人科学教室
pp.822-823
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208062
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胎盤の血行は,本来異なった固体である母体の子宮胎盤循環と胎児循環よりなり,そのそれぞれに特異な血管構築が構成されている。非妊娠時では子宮動脈より分枝した血管はA.arucuata,A.radialisとなり,平滑筋と少量の弾力線維よりなるA.basalisを分枝し,その後,豊富な平滑筋と弾力線維よりなるA.spiralisとなり,precapillary capillaryとなるが,妊娠時においてはA.spiralisは非妊娠時の30倍に拡大するとされ,これらは二重の血管運動神経支配を受けているが,A.spiralisはむしろ変性をうけ,A.radialisが収縮機能を有するとされる。これらがangiopathic conditionとしての妊娠中毒症などでは,図のような血管の変化を来たし,その結果として血流の変化をまねくとされる。一方,胎児循環は臍動静脈にはじまり,胎盤付着部に2本の臍動脈間に交通がみられ,静脈は付着部にて三叉状になり絨毛膜板上に分布する。さらに絨毛幹動脈となり,縦・斜方向の平滑筋がみられ迷走神経支配にて血流の変化に対応している。さらに,これらは幹枝血管,絨毛毛細血管となる。妊娠初期では毛細血管は発達しておらず,細かく僅かであるが,妊娠末期になると,毛細血管の拡張,増殖が著明となり,vasculo-syncytial membraneを形成する。さらに,これらの胎児循環血管系にも,妊娠中毒症,その他の疾患にて様々な変化が報告されている。
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