原著
胎児睡眠覚醒レベルからみたNST検査時間に関する検討
吉村 秀一郎
1
,
安永 昌子
1
,
増崎 英明
1
,
石丸 忠之
1
,
山辺 徹
1
Shuichiro Yosimura
1
1長崎大学医学部産婦人科学教室
pp.393-397
発行日 1989年4月10日
Published Date 1989/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207988
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NSTは,臨床的に広く用いられている胎児機能検査法であるが,偽陽性例の多いことが問題となっている。この原因のひとつとして,胎児にも睡眠・覚醒レベルが存在し,NST上,variabilityが小さく,accelerationのほとんどみられない時期(rest phase)の存在が関係していると考えられている。私どもは今回,NSTの検査時間を延長することにより,胎児の睡眠・覚醒レベルの影響について検討した。対象は妊娠30週から42週の妊婦607例で,のべ1,133回のNSTを施行した。NSTは10分おきに判定し,最大180分まで延長した。妊婦607例中,最終的にreactiveであった頻度は584例(96.2%)で,残りの23例(3.8%)がnon-reactiveであった。Reactive群のうち,NST開始から20分でreactiveとなったのは77.8%で,40分では96.1%であり,最終的に80分ですべてreactive patternを示した。NSTの検査時間を延長することにより,偽陽性例を減少させうることが可能と思われた。
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