シンポジウム 生のリズムとその障害—東京都精神医学総合研究所,第3回シンポジウムから
睡眠,覚醒のリズムからみたてんかんの類型学
河合 逸雄
1
1京都大学医学部精神医学教室
pp.111-115
発行日 1977年2月15日
Published Date 1977/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202580
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I.はじめに
最初に断っておくが,私の研究は生のリズムからみたてんかんの類型学,精神病理学であって,このシンポジウムに発表される諸先生方のような生理,化学的研究とは随分レベルが異なるし,「生のリズムとその障害」なるテーマの後半「その障害」という点についてはほとんど触れることがない。
さて,Janzが睡眠,覚醒のリズムから大発作をもつてんかんを覚醒てんかん(以後A型と呼ぶ),睡眠てんかん(S型),混合てんかん(D型)に大別したことは,昨今わが国でもよく知られるようになった。彼の類型学5,6)を簡単に紹介すると,A型は発作が覚醒後2時間以内に出現するか,休息時に出現する—これをFeierabend Typという—もので,S型はもっぱら睡眠中に大発作が出現し,混合てんかんは覚醒,睡眠いずれにも出現するか,覚醒後2時間以上経てから出現するものである。原因についていえば,A型は原因不明が多く,遺伝負荷もかなり認められ,D型は脳器質障害を既往歴にもつことが多い。S型はその中間である。合併する小発作グループについてはA型は小発作欠神を,S型は精神運動発作を,D型はその他の部分てんかん,例えばジャクソン発作をもつ。A型は就眠困難で朝方に熟睡するが,S型はその逆である。A型が最も発作抑制可能であり,難治例はA型からS型もしくはD型へ,S型からD型へと移行し,その逆はない。
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