特集 手術療法の進歩
卵巣癌—後腹膜リンパ節郭清術を中心として
寺島 芳輝
1
,
横山 志郎
1
Yoshiteru Terashima
1
,
Shiro Yokoyama
1
1東京慈恵会医科大学産婦人科学教室
pp.811-814
発行日 1988年9月10日
Published Date 1988/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207856
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卵巣癌の治療として手術療法,化学療法,放射線療法等を用いた集学的治療がおこなわれ,かなりの効果をあげつつある。特に卵巣癌化学療法へCDDPが導入されて以来,奏効率の上昇や進行例中でのCR,PR例の増加も期待できるようになり,卵巣癌は着実にTotalの治療効果としては改善をなしとげつつある1,2)。
しかし,延命効果として見れば,依然として進行癌例の予後は充分なものとはいえず,その取り扱い方や現在までの卵巣癌に対する集学的治療のあり方への見直しの議論もたかまりつつある。最近FIGOより卵巣癌の新臨床進行期分類3)が提唱されたが,その中にも後腹膜リンパ節および鼠径リンパ節への転移の有無の確認という新しい項目がとりあげられている。つまり傍大動脈リンパ節郭清を含めた後腹膜リンパ節郭清術がstagingに必須となるばかりでなく,新しい卵巣癌の標準手術術式ともなることを示唆していると思われる。卵巣癌の治療法の中でも最も主たる治療法である手術療法はこのように,内性器全別出術+大網切除術を中心とした古典的術式から,骨盤内臓器の合併切除を含むmaximal debul-king surgery+後腹膜リンパ節郭清術いう新標準術式へと大きく転換の時期を迎えつつあるように思われる。そこで本縞では1987年東京で開催された3rd interna-tional symposium:Gynecologic Oncology,Surgery and UrologyでのBurghartら4〜7)の論文を中心にこれらの問題点も含め述べることとする。
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