疾患の病態と治療 日常診療の再検討
子宮体癌の黄体ホルモン療法
寺島 芳輝
1
,
安田 允
1
Yoshiteru Terashima
1
,
Mitsuru Yasuda
1
1東京慈恵会医科大学第1産婦人科学教室
pp.401-404
発行日 1977年5月10日
Published Date 1977/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205613
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癌とホルモンの関係についてはエストロゲンと乳癌および子宮体癌,アンドロゲンと前立腺癌などがあり,これら"ホルモン依存性"癌の治療として,当然ホルモン療法が考えられてきた。子宮体癌もその発生過程において,子宮内膜増殖症とともに,エストロゲンが大きな役割りを果たしていると考えられていることはすでにいうまでもない。すなわち,エストロゲンが長期,多量に作用し,子宮内膜が異常に増殖した結果,前癌性変化〜癌発生の可能性がきわめて高くなると想像され,これに加えて,体癌を発生させる体質的因子として,不妊,未産婦,肥満,糖代謝異常ならびに高血圧などが関与していることが統計的に明らかにされ,またhypercstrogenismをきたす各種卵巣疾患が本腫瘍発生と密接に関連していることも,これまた報告されている。
したがって,本腫瘍でもエストロゲンの増殖作用に対し,分泌性変化〜増殖を停止させる黄体ホルモン療法が当然考えられ,現在まで多数報告されている。
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