臨床研修セミナー 流産
ホルモン測定による切迫流産の予後診断—現況と問題点
足高 善彦
1
Yoshihiko Ashitaka
1
1神戸大学医学部産科婦人科学教室
pp.168-172
発行日 1989年2月10日
Published Date 1989/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207949
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下腹部の緊満感,あるいは不定期に発来する軽度の陣痛様疼痛や少量の性器出血を認めるが,頸管は未だ開大しておらず,治療により可逆的に妊娠の継続が期待できるものをとりあえず「切迫流産」と呼んで治療の対象としてきた。これには胎芽の生存を前提とするが,妊娠のごく初期ではそれが極めて困難なために,結果的には不可逆的な「進行流産」への過程であったものをも含んでいる場合が,これ迄には少なくはなかった。しかしながら超音波断層技術の進歩に伴い,胎芽の生死を判定する基準が高まってきているので,将来は例えば「胎芽・胎児が生存しているにも拘らず流産症状を呈するもの」といった定義がなされるであろう。ここでは超音波学的検索で胎芽・胎児の生存が未だ確認できない妊娠早期の切迫流産例に対する内分泌学的検索法の現況についてまとめた。
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