薬の臨床
婦人科腫瘍マーカーとしての血中CA 130値測定の有用性—CA 125と同一糖蛋白上にあるが異なる抗原決定基(CA 130)を認識するモノクローナル抗体を用いた血中CA 130値測定キットの基礎的・臨床的検討
野々垣 比路史
1
,
藤井 信吾
1
,
小西 郁生
1
,
南部 吉彦
1
,
佐川 典正
1
,
小林 史典
1
,
森 崇英
1
,
佐賀 恒夫
2
,
遠藤 啓吾
2
Hirofumi Nonogaki
1
,
Tsuneo Saga
2
,
Keigo Endo
2
1京都大学医学部婦人科学産科学教室
2京都大学医学部核医学教室
pp.483-490
発行日 1988年5月10日
Published Date 1988/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207794
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肺腺癌細胞を用いて作成された2種類のモノクローナル抗体によって認識される抗原であるCA 130はCA 125と同一糖蛋白上にあるが,その抗原決定基の存在部位がCA 125とは異なっていることが示唆されている。今回我々はこのモノクローナル抗体を用いて種々の婦人科腫瘍患者の血中CA 130値を測定し,それら症例における血中CA 125値と比較して,CA 130値が婦人科領域における腫瘍マーカーになりうるか否かについて検討した。
1)健常人および腫瘍患者107例について測定したところ,CA 130値とCA 125値はr=0.986と高い正の相関関係を認めた。健常人のCA 130値の平均値は10.31±9.4U/ml (M±SD)であったが,cut-off値はCA 125と同様に35U/mlとし,それ以上を陽性とした。
2)婦人科腫瘍患者269例において上皮性卵巣癌患者の63%,卵管癌患者の100%に陽性を示し,その推移は臨床経過ともよく相関していたことから,CA130は婦人科腫瘍患者の血中腫瘍マーカーとしてCA125と同様にきわめて有用であると考えられる.
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