特集 MRI診断の進歩
下垂体腺腫
中村 博彦
1
,
設楽 信行
1
,
K. Karaguiosov
1
,
高倉 公朋
1
Hirohiko Nakamura
1
1東京大学医学部脳神経外科教室
pp.319-327
発行日 1988年4月10日
Published Date 1988/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207766
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最近の超電導MRI (Magnetic Resonance Imaging)装置を用いた画像診断の進歩は著しく,従来のX線CTをはるかに超える分解能で局所解剖を描出出来る。鮮明な冠状断・矢状断の画像が容易に得られ骨によるarti—factが無いため,トルコ鞍や蝶形骨陵などの頭蓋底の骨に接した下垂体腺腫や下垂体近傍腫瘍の診断にはきわめて有用である。また撮影条件設定により腫瘍内の出血・壊死・嚢胞・腫瘍周囲の浮腫などを克明に画像化出来るために,術前の病理診断が推定可能である。
現在東京大学では超電導MRI装置Magnetom (シーメンス社)を用いて静磁場1.5Teslaにて撮影し,spin-echo法によりTR (繰り返し時間),TE (エコー時間)の時間設定を組み合わせることによって希望する画像を得ている1,2)。TR・TEを短縮するとT1値(縦緩和時間)が強調される画像が得られ,TR・TEを延長するとT2値(横緩和時間)が強調される画像が得られる。
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