講座 実地医家のための不妊症治療講座・9
子宮内膜症と不妊
奥田 喜代司
1
,
杉本 修
1
Kiyoshi Okuda
1
,
Osamu Sugimoto
1
1大阪医科大学産科婦人科学教室
pp.608-612
発行日 1987年9月10日
Published Date 1987/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207655
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
外性子宮内膜症(内膜症)は女性不妊の重要な原因であることは,多くの統計的検索1〜3)や動物実験4)でも明らかであるが,内膜症のどのような病態が不妊と関連があるのか十分明らかにされているとはいえない。また内膜症の診断は通常の検査では困難な症例も多く,とくに初期例ではlaparoscopy5)が唯一の診断法であるともいえる。筆者らは不妊症例における内膜症の存在に注目して検索をしてきたが,その頻度は最近では約20%にも上昇している(図1)。これは診断法の改善だけではなく,実数も増加しているためと考えられる。われわれはこれら症例に対し保存治療成績の向上を目指し,不妊因子としての病態の解明や新しいホルモン療法の開発および保存手術療法の工夫などを行ってきた。本章ではこれら成績を中心に不妊症における内膜症の診断および治療をその病態と関連づけて述べてみたい。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.