実地臨床手技のエッセンス 月経困難症
原因別治療法—子宮内膜症
杉本 修
1
Osamu Sugimoto
1
1大阪医科大学産婦人科学
pp.770-776
発行日 1979年10月10日
Published Date 1979/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206110
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骨盤腔内炎症(PID),子宮筋腫,子宮腺筋症,エンドメトリオージスなど初潮後に発生した器質性病変に起因する月経困難症は一括してacquired,secondary or extrinsic dysmenorrheaと呼ばれている。しかしながらこれら疾患の病態発生がそれぞれ異なるように,月経困難症の発症機序も異なっている。周知のように子宮内膜症には子宮腺筋症とエンドメトリオージスとがあり,いずれも性成熟期に発生し,卵巣ステロイドの影響下に異所性に浸潤増殖した子宮内膜がactiveな機能を発揮する。すなわち月経時における病巣組織の崩壊と出血が疼痛を主体とした局所の刺激症状と,嚢胞形成,癒着,線維性硬結などの器質性変化をもたらす。これが周期的に反覆されるため,臨床症状および局所病変は増悪の一途をたどるものである。
このように腺筋症とエンドメトリオージスは発生部位こそ違うが,その病態発生機序はhomo—logousであり,臨床症状も共通点が多いし,両者はしばしば共存する疾患である。月経困難症は両疾患に共通した最も特徴ある自覚症状のひとつであり,治療面でも共通点が多い。
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