今月の臨床 不妊の原因を探る
動向
1.最近の不妊症の動向—とくに子宮内膜症の診療
杉本 修
1
Osamu Sugimoto
1
1大阪医科大学産婦人科
pp.1156-1157
発行日 1993年10月10日
Published Date 1993/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901461
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不妊診療は,ここ数年あまり目立ちはしないが少しずつ変貌を示しながら進歩してきた。これには,①ホルモン定量の簡素化,精密化,②画像診断,とくに経腟超音波断層法の精度向上と普及,③内視鏡(腹腔鏡,子宮鏡)による診断と治療への応用,④新しいホルモン剤による卵胞成熟や排卵誘発のコントロールなど,が比較的手近に行えるようになったためと思われる。なかでも一連の配偶子操作の過程で卵胞刺激,卵胞成熟モニター,経腟超音波下採卵,媒精,培養,胚移植などが細密なタイムスケジュールに沿って容易に行えるようになった。
またここ数年来不妊領域が注目されている疾患のひとつに子宮内膜症がある。本症が不妊へ関わる機序の解明についての多くの研究は,ますます混迷の度を深めている。しかしながら臨床実地面では腹腔鏡診が診断に定着し,ホルモン療法に先がけて直視下手術に利用されるようになり,予後追跡にも欠かせない手段になり,治療成績も向上してきた。
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