境界領域の再評価とその展開 特集
新生児異常をめぐって
新生児難聴の診断と治療
加我 君孝
1
Kimitaka Kaga
1
1帝京大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.161-169
発行日 1987年3月10日
Published Date 1987/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207554
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新生児の難聴の診断は,過去10年の電気生理学的検査法の進歩とCTの登場で,容易に敏速に,しかも正確に実施出来るようになった。特に聴性脳幹反応(Au—ditory Brainstem Response) ABRという音刺激に対する脳幹レベルの脳波誘発反応の開発が最大の理由である8)。ABRは難聴と脳幹障害を一挙に診断を可能にしたために,新生児医療に与えた影響は大きい。たとえば国内外においてもNICUにはABRが設置され,超早期に難聴と脳幹障実の診断に利用されている。ただし,ABRの応用にあたっては新生児の耳や聴覚,聴覚神経系の解剖・生理・病態生理の理解が必要である。耳と聴覚伝導路の解剖を図1,2に示した。
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