先進医療—日常診療へのアドバイス 特集
婦人科癌の化学療法
疾患別プログラミングとプラクティス
小児婦人科がん
中島 久良
1
,
山辺 徹
1
Hisayoshi Nakajima
1
,
Tooru Yamabe
1
1長崎大学医学部産婦人科学教室
pp.833-836
発行日 1986年11月10日
Published Date 1986/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207487
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わが国における小児がんの発生頻度は小児人口のおよそ1万人に1例の割とみなされ4,5),年間発生数は約2,500例と推定されている6)。一方,小児がんのうち女児性器がんの割合は約3%と考えられており2,3),しかもその大部分が卵巣においてみられるので,小児における子宮,腟あるいは外陰の悪性腫瘍はかなりまれといえる。なお小児に発生する卵巣がんの70〜90%は胚細胞起源の腫瘍である3,14,20)。米国ではとくにdiethyl-stilbe—strol投与を受けた妊婦から出生した女児の腟や子宮頸部に明細胞腺瘤の好発することが指摘されているが,わが国では妊婦へのestrogcn剤投与がほとんど行われていなかったこともあり,そのような発生の報告例はみられない。
そこで本稿では,小児期および思春期の女児に特異的にみられるブドウ状肉腫と胚細胞起源の充実性卵巣腫瘍について,それぞれの治療法を概説し,さらに化学療法の指針に関して触れることにする。
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