先進医療—日常診療へのアドバイス 特集
婦人科癌の化学療法
Current concept
婦人科癌の化学療法をめぐって
竹内 正七
1
,
金沢 浩二
1
,
湯沢 秀夫
1
Shoshichi Takeuchi
1
1新潟大学医学部産科婦人科学教室
pp.793-797
発行日 1986年11月10日
Published Date 1986/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207475
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ここ25年ほどの間に,抗癌化学療法の登場にともなって,婦人科癌の治療法も大きく様変わりしたといえよう。実際の臨床においては,むしろ局所を越えて拡大した癌に遭遇することが多いこと,たとえ局所に限局されていると判断されても結果的には細胞レベルの拡大があったと推測せざるを得ない,すなわち,局所再発よりも遠隔部位の再発に遭遇することが少なくないこと,などの観察によって,局所的治療法(local therapy)としての手術療法と照射療法,および,全身的治療法(systemictherapy)としての化学療法の意義と役割が,次第に明確にされてきた。化学療法は,歴史的には,前立腺癌に対するEstrogen投与,リンパ腺腫や白血病に対するNitrogenmustard投与などに始まり,最近では多数の抗癌剤が開発され,臨床的にもそれぞれの有効性が客観的に評価されてきた。婦人科的にも,例えば絨毛癌の治療においてはもちろん,卵巣癌の治療においても,今後化学療法の役割がますます重大になっていくものと考えられる。
本稿においては,最近の知見を中心に,婦人科癌の抗癌化学療法について概説したいと考える。
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