講座 実地医家のためのホルモン講座
ホルモン療法の実際・10
高プロラクチン血症の治療
成田 収
1
,
吉川 史隆
1
,
菅沼 信彦
1
Osamu Narita
1
1名古屋大学医学部産婦人科教室
pp.764-769
発行日 1986年10月10日
Published Date 1986/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207470
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1971年にプロラクチン(PRL)の免疫学的測定法が開発されて以来1),このホルモンに対する研究が急速に進み,乳汁漏出症だけでなく,不妊症や月経異常を訴える患者の中に,高率に高PRL血症が存在することが明らかとなった。さらにトルコ鞍断層撮影法やCT—スキャンを中心とした放射線学的診断法の進歩に伴い,これらの高PRL血症患者のうちに,PRL産生下唾体腺腫が高頻度に発見されるようになった。一方,治療法としては,Hardyらによる経蝶形骨洞的腺腫摘徐手術が行われているが,スイスのサンド社で開発されたbromocriptine(パーロデル)2)も頻用され,優秀な治療成績を示している。しかしながら,現在手術療法か薬物療法かの適応の問題や,bromocriptineの投与法など,統一された見解がなく,その適応や治療法に混乱がみられる。そこで,今回は高PRL血症に対する治療法の選択とその成績について述べる。
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