ヒューマンバイオロジー--臨床への展開 子宮筋腫
子宮筋腫の保存療法
須川 佶
1
,
大和 知子
1
,
濱田 和孝
2
Tadashi Sugawa
1
,
Tomoko Yamato
1
,
Kazutaka Hamada
2
1大阪市立大学医学部産科婦人科教室
2大阪市立城北市民病院産婦人科
pp.569-573
発行日 1985年7月10日
Published Date 1985/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207212
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子宮筋腫に対してもっとも広く行われている治療法は単純性子宮全摘術である。しかしながら子宮筋腫は数多くの婦人に発生し1),しかも性成熟期に発症することが多いため,生殖器官としての子宮機能を温存する必要が生じる場合もある。そのほか,筋腫が小さく手術適応とならない場合や,筋腫は比較的大きくても閉経期直前でその増大傾向が少ない場合などには,随伴症状が強くなければ子宮を温存したままで観察や治療が行われている。子宮温存を目的とする症例あるいは術前の待期症例には随伴症状である過多月経,不整出血,月経困難症,貧血などを対症的に寛解させ患者の苦痛を和らげることが必要となる。腫瘍に選択的に作用する薬剤により,子宮筋腫を変性,縮小させることが理想的であるが,現在なお有効な抗筋腫薬は発見されるに至っていない。本稿では子宮を温存して行う子宮筋腫に対する治療をまとめ,その意義について述べる。
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