特集 図でみる病態産婦人科学--適正治療のために
腫瘍
子宮頸部前癌〜早期癌
井上 芳樹
1
,
野田 起一郎
1
Yoshiki Inoue
1
,
Kiichiro Noda
1
1近畿大学医学部産科婦人科学教室
pp.476-481
発行日 1985年6月10日
Published Date 1985/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207197
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前癌病変あるいは前癌状態という言葉には種々の意味合いのものを含んでおり,従来,厳密な手続きなしに癌になりやすい状態という程度に用いられることが多かったが,現時点における前癌病変の概念を整理してみると,癌化の中間段階にある細胞の構成する組織という意味での癌化中間病変と,単に癌化の起こりやすい状態という意味での癌化好発病変の2つに分けることができる。発癌機構と直接かかわりをもつと考えられるのは前者の癌化中間病変であり,この病変の認識は臨床家にとって重要な意味をもつこととなる。
子宮頸部において癌化中間病変というものがどういうものであるかについては,これまでのfollow up study,病理組織学的検討,疫学的調査成績,地域における集団検診による各病変のincidenceの検討,および実験的に発生せしめたマウス頸の上皮病変についての成績などより,異形成上皮(dysplasia)であるとされている。
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