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特集 産婦人科診療の今昔
婦人科学
子宮癌早期診断法
Early diagnosis of carcinoma of the uterus
石川 正臣
1
Masaomi Ishikawa
1
1日本医大
pp.57-62
発行日 1960年1月10日
Published Date 1960/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202119
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Ⅰ.はじめに
子宮癌はその診断の時期が遅れ,治療の時期を逸すると,まことに悲惨な経過をとる疾患であり,患者に堪えがたい苦痛を与え,その生命を奪うものであることは今日これを知らぬものはない。昔は癌は不治の疾病とせられ治療は単に対症療法に過ぎなかつたから診断を早くつけなければならないということはなかつたであろう。
佐藤1)によれば子宮癌の治療には最初薬剤が用いられ,例えばR.Chrobak (1887)は発煙硝酸を,G.Leopold (1898)は濃厚石炭酸を,またThierschは硝酸銀を,J.Schramm (1888)は昇汞塩化ナトリウムを,A.Mosetig-Moorhof (1892)はメチレン青を,H.Schultz (1892)及びVulliet (1894)は純アルコールを用いている。これらのものは全く対症的の療法である。次に手術的療法に関しては,古くから考えられていたようではあるが,子宮腟部癌を腟の方から切除する方法は18世紀の終りにはひとびとによつて考えられたことである。子宮癌の手術はドイツにおいて最も早くそして熱心に研究せられて発達した。1801年にF.B.Osiander は子宮腟部癌の切断を初めて行つた。その後もこれはいろいろの人によつて行われたが結果はすべて不良で,出血と伝染とのために直接死亡するばかりでなく再発のために死の転帰をとつたということである。
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