明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 胎児--その自立と依存
脳成熟と周産期障害
西村 正明
1
,
家島 厚
1
,
高嶋 幸男
1
Masaaki Nishimura
1
1鳥取大学医学部付属脳幹性疾患研究施設神経小児科
pp.895-901
発行日 1984年12月10日
Published Date 1984/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207091
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脳は他の臓器に比して,胎生期,乳児期における成熟の割合が早く,成熟の過程において障害をうけやすい。また神経細胞の再生能力の乏しさと相まって,障害を残しやすい。さらに未熟脳での障害は,成人脳とは異なった機能障害を生じる。
成熟過程の中で,周産期は子宮内から子宮外への分娩,適応の時期であり,虚血,低酸素,代謝異常などの悪条件が加わりやすく,脳の成熟過程に伴う脆弱性によって,脳障害にも種々のパターンがみられる。本稿では,脳の成熟を未熟脳の脆弱性を考慮して,素因と外因を概観し,各周産期脳障害の要因に言及する。また,成熟過程における脳障害のCT上の特徴について,最近われわれの得た知見を述べてみたい。
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