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I.はじめに
近年,周産期医学の進歩により,死亡率は減少し,予後も改善した。かつて脳性麻痺の3大原因は仮死,核黄疸,未熟児といわれていたが,最近では核黄疸後遺症はほとんどなく,仮死と未熟児で生まれても後遺症なく生存することが多い。しかしながら,分娩監視や新生児集中治療(NICU)によって,ハイリスク新生児の救命率が向上する一方,周産期の脳障害の問題は重症例の生存とともに,病像が変容して残り,依然として重要である。重症仮死では大脳皮質壊死,脳梗塞,白質軟化,基底核壊死,脳幹壊死などの低酸素性虚血性病変型が複合して生じることが多くなり,極小未熟児でも脳室内出血,脳室周囲白質出血あるいは脳梗塞がやはり重複して合併することが多い。
また,新生児では大脳は機能的に未発達であるために,大脳障害があっても,成人のように局所症状を呈さず,新生児期の脳障害の診断は困難である。最近の画像診断の進歩により,CT,MRIあるいは超音波断層法で,頭蓋内出血,脳梗塞,白質軟化などの局在や程度が分かるようになった。とくに超音波断層法はベッドサイドで手軽に,繰り返して使用でき,重要な診断法となっている。さらに脳機能評価やモニターのための神経生理学的検査も新生児に応用され,重要な補助診断法となっている。
The causes of many of the abnormalities in development remain elusive, but perinatal brain damage still remains high among the causes of cerebral palsy. With recent progress of perinatal intensive care, perinatal mortality and morbidity improved, but the localization pattern of the brain damage has been more complicated. The brain pathology in very prematurely born infants with intraventricular hemorrhage (IVH) was studied particularly as to the severity and site of the complicated brain lesions responsible for the prognosis.
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