今月の主題 自律神経失調症—心身症としての考え方・扱い方
自律神経失調症とは
成熟期および更年期にみられるもの
長谷川 直義
1
Naoyoshi Hasegawa
1
1秋田大学医学部・産婦人科学教室
pp.1756-1757
発行日 1982年10月10日
Published Date 1982/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217948
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今日,自律神経失調症を独立した疾患として認めていない学者もみられる.婦人の場合は1952年,Curtius & Krugerが卵巣機能不全,習慣性便秘,血管運動神経不安定症状をTriasとする症候群を,Vegetativ-endokrine Syndrom(内分泌自律神経症候群)と呼んだものも,卵巣機能不全を合併した自律神経失調症であると考えられている.また昔から巷間にいわれてきた血の道という言葉も,主として分娩後にあらわれる自律神経失調症と考えられ,1954年九嶋はこれを婦人自律神経失調症(Vegetosis,Vegetose)と命名した.
婦人の自律神経失調症は,間脳自律神経中枢の機能失調によって起こる自律神経症状(不定愁訴)を主徴とする症候群である.自律神経失調症に相当する症状は女性に圧倒的に多いが,男性にもないわけではないので,婦人の場合は,とくに婦人自律神経失調症と呼ばれる.以下,成熟期および更年期にみられるものの臨床的特徴と疑診のおきかたについて述べる.
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