今月の臨床 胎児・新生児のBrain Damage
疫学と病理
3.成熟児脳障害の病理
伊藤 雅之
1
,
稲毛 祐基子
1
,
高嶋 幸男
1
1国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第2部
pp.1134-1138
発行日 1998年9月10日
Published Date 1998/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903390
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
近年の胎児・新生児医学の進展により,周産期死亡率は著しく低下した.これは産科および新生児科による周産期ケアによるところが大きい.そして,それにともない,周産期脳障害の質的変化がみられるようになった.かつて脳性麻痺の原因の多くは,未熟児と核黄疸,仮死であった.最近では,極小未熟児のintact survivalは向上し,核黄疸はみることがなくなった.仮死(asphyxia)の多くは後遺症なく生存するようになったが,いまだ重要な疾患である.ここでは,成熟新生児にみられる脳病変,その大きな要因である低酸素性虚血性脳障害に焦点を当てて,最近の知見を含めて述べる.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.