明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 生殖免疫
免疫性不妊症
鎌田 正晴
1
,
苛原 稔
1
,
長谷部 宏
1
,
山野 修司
1
,
木下 恒夫
1
,
野田 洋一
2
,
森 崇英
2
Masaharu Kamata
1
,
Yohichi Noda
2
,
Takahide Mori
2
1徳島大学医学部産科婦人科学教室
2京都大学医学部婦人科学産科学教室
pp.629-634
発行日 1984年8月10日
Published Date 1984/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207035
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妊娠は両性配偶子の合一すなわち受精から始まり着床に至る一連の過程を経て成立する。個体の免疫系がこれらの過程を阻害することがあれば不妊となり,ここに免疫性不妊症が成立する。不妊に関連する免疫エフェクターとして,性ステロイド産生細胞に対する抗体をはじめ,抗卵細胞質抗体,抗透明帯抗体などの自己抗体および自己あるいは同種抗体としての抗精子抗体が挙げられる。抗体の他,種々の細胞性免疫の関与も考えられるが,現在まで系統的な研究はほとんどなされていない。
上記の免疫因子を原因とするヒトの不妊症を証明するためには以下の事実を明らかにする必要がある。すなわち,1)上記抗体が不妊症患者血中あるいは局所に特異的に証明されること,および,2)その抗体の妊娠成立阻止に関与する生物作用をin vivoあるいはin vitroで直接的に証明することである。本稿では,抗精子抗体および抗透明帯自己抗体につき,以上の点を中心として述べる。
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