明日への展開 ADVANCED TECHNOLOGY
II.生殖・内分泌
機能性不妊
森 崇英
1
,
神崎 秀陽
1
Takahide Mori
1
,
Hideharu Kanzaki
1
1京都大学医学部婦人科学産科学教室
pp.255-258
発行日 1984年4月10日
Published Date 1984/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206969
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不妊症のなかで,系統的検査によっても原因が不明とされるものは,諸家の報告で8.5%−44.9%1〜8)にわたっており,最近の検査法の著しい進歩にもかかわらず,有効な治療方針の立てられないものが相当数ある。その原因として排卵障害,卵管機能異常,着床障害等が疑われるが,器質的異常が明らかでなく,内分泌学的にも確定的因子が解明できない例も少なくない。このような例に対して,従来より機能性不妊という名称が用いられているが,定義そのものも確立されていない現状である。これらの中には心因性,自律神経失調に基づくものや,従来のルーチンの検査法ではチェックできない内分泌,免疫因子が関与しているものが含まれている。本稿では,排卵・受精から着床に至る過程で,最近明らかにされつつあるその障害原因を,免疫因子を主として概説する。
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