疾患の病態と治療 産婦人科疾患の免疫学的アプローチ
卵巣の自己免疫症
森 崇英
1
,
北川 道夫
1
,
鈴木 瞭
1
,
藤田 泰彦
1
Takahide Mori
1
1京都大学医学部婦人科学産科学教室
pp.289-293
発行日 1976年4月10日
Published Date 1976/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205403
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自己免疫疾患とはMackay and Burnet1)の定義によれば"自己の体構成成分と特異的に反応する抗体ないしは免疫細胞の作用によつて,組織の構造的機能的障害が作り出された状態"である。この定義にしたがう限り2つの成立要件が設定されているように思われる。その1つは体構成成分に特異的に対応する抗体ないしは免疫細胞の存在であり,換言すれば自己免疫現象の成立であるといえる。その2つは体構成成分に対する免疫学的な障害作用の存在,換言すれば成立した自己免疫現象の病因的意義の同定であるといえる。
自己免疫疾患であることの確定条件として,上述の2つの成立要件のうち主として前半の自己免疫現象の成立に重点を置いたMackay (1963)の臨床免疫学的criteria1)と,後者の病因的意義の確立までも含めたWitebsky (1957)の免疫病理学的criteria2)とがある。むろん,Witebskyの条件がより厳密であるが現在知られているおよそ31種の自己免疫疾患のうち,この条件を具備しているものはSLEほか数種にすぎない。
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