トピックス
密着型子宮鏡(コンタクト・ヒステロスコープ)の臨床応用
田部井 徹
1
1自衛隊中央病院産婦人科
pp.897
発行日 1982年12月10日
Published Date 1982/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206732
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産婦人科領域における内視鏡の進歩は著しく,子宮鏡(ヒステロスコープ),腹腔鏡(ラバロスコープ),羊水鏡(アンムニオスコープ),クルドスコープ,膀胱鏡(シストスコープ)あるいはコルポスコープなど各種の内視鏡が,臨床に広く使用され,診断や治療に役立っている。現在普及している子宮鏡(ヒステロスコープ)は,子宮内腔あるいは内壁面の病変を直視しやすいように,明るい光源,子宮腔の拡張,出血に対する処置など様々な工夫や改良が加えられているが,不充分な点が多い。たとえば子宮壁は伸展性に乏しく前後壁が相接しているために子宮内に水,炭酸ガス,デキストランなどの媒体(気体や液体)を注入し内腔を拡大して観察する仕組になっている。しかし,ときに充分な拡大が困難であり,内面からの出血や粘液により視野が妨害されやすい欠点がある。最近,フランス(MTO)で開発された密着型内視鏡であるコンタクトヒステロスコープ(図1)は,子宮内膜にレンズを密着させ病変部を直接観察する。従って媒体を必要とせず,また血液や粘液による障害がなく視野の確保が容易である。しかし,挿入鏡部の先端を病変部に密着するために,先端部直径の範囲しか観察することができず,大きな病変部を直視するためには太い直径のものを使用しなければならない。密着型ヒステロスコープは,1973年頃,フランスのB.Parentらにより考案され,J.Barbotらが初めて臨床応用した1)。近年M.Baggishら2)は,子宮鏡としてまたJ.Dorseyら3)は,膀胱鏡としての臨床的な有用性を指摘した。
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