薬の臨床
高粘稠デキストラン溶液S−8550のヒステロスコープへの応用
中尾 孝
1
Takashi Nakao
1
1三重県立大学医学部附属塩浜病院産婦人科
pp.785-789
発行日 1974年11月10日
Published Date 1974/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205102
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子宮は,出血の鑑別を必要とする頻度が最も高い臓器である。また,子宮は体表面近くにあり,内視鏡検査はそれほど苦痛を伴うとも思えないが,その発達は遅れていた。この原因は,子宮の解剖学的機能的理由にある。つまり子宮は扁平密接しており,その内膜はわずかな接触で容易に出血するという点である。このため,子宮腔を観察するには内腔の十分な拡大と,出血の予防もしくは除去を必要とする。
これらを克服するため,炭酸ガス方式1),透明ゴム球方式2),滅菌水灌流方式3)などが考案利用されてきたが,現在最もよく行なわれているのは滅菌水灌流方式である。そして杉本ら4)は,この方式による子宮鏡検査を日常診療のルーチンテストとして自由に駆使しうる時点に達したと述べている。
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