臨床医のプライマリ・ケア 婦人科疾患と新しい診療術
婦人科の癌—診療の基本に置くべきことと患者・家族とのコミュニケーション
山崎 高明
1
Takaaki Yamasaki
1
1山崎産科婦人科医院
pp.611-616
発行日 1982年8月10日
Published Date 1982/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206669
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この数年,分娩,アウスの減少による産婦人科の斜陽が叫ばれており,毎年日母の代議員会に出席しても悲観論は聞きこそすれ,抜本的対策はなかなか見当らない現状である。われわれ開業産婦人科医も過去の夢ばかりを追って漫然として手をこまねいていたのでは,しょせん開業助産婦の運命をたどるしかないと思われる。
今後もはや分娩の増加は望むべくもなく,大都市ほど一日も早く発想の転換をはかり今までの診療形態からの脱却をめざさなければ,専門医として生き残れないのではなかろうか。わが国の産婦人科医療こそ,他科に比して開業医が一般患者のプライマリ・ケアを受け持ち,その重症度によって二次,三次の病院へ順次送り込める体系を確立してもらうことが理想的であるにもかかわらず,当然高度の医療を分担すべきである二次病院級の官公立大病院でさえ,われわれ開業産婦人科を訪れる患者分布にほぼ等しいようなeasyな外来患者や分娩数を集めて競合しているような現状では如何ともしがたく,非常に残念なことである。
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