臨床医のプライマリ・ケア カウンセリング
カウンセリングの実際—婦人科手術後および新婚性交障害のカウンセリングについて
山崎 高明
1
Takaaki Yamasaki
1
1山崎産科婦人科医院
pp.469-471
発行日 1982年6月10日
Published Date 1982/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206633
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Ⅰ.セックスカウンセリングの重要性に着目したきっかけ
私がそもそもセックスカウンセリングの重要性に着目した最初のきっかけは,昭和38年頃兵庫県がんセンターにおいて頸癌手術後の患者に対するカウンセリングの必要にせまられたことに起因している。近年頸癌の診断技術の進歩に伴い,相当若年者にも初期の頸癌が見つかるようになり,したがって治療した患者の術後生活が長くなるにつれて離婚してしまうケースがみられるという現実に遭遇し,これでは頸癌を治療したことが果たして本人にとって幸福であったのかどうか疑問に思わざるを得なかった。そこで,がんセンター勤務当時,比較的若年の退院患者を対象に,今後の夫婦生活を送る上での注意すべき点を指導していたのである。そしてこの方面の文献などを調べ,神戸大産婦人科教室の同窓会誌に「頸癌手術後のsex」という題で投稿したりしたものであった。
その後開業してからも外来患者の中に心因性に起因すると思われる不定愁訴症状を訴える患者がかなりあるのを感じていたし,その上昭和53年3月,野末源一先生から日赤医療センターにおけるセックスカウンセリングの現況についての報告を聞くに及んで,今後の婦人科外来において,この方面にも目を向けなければならないと思いたち,野末先生に御指導いただいて,始めたものである。
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