症例
生後4ケ月の乳児の腟に発生したEndodermal Sinus Tumor
松田 稔
1
Minoru Matsuda
1
1社会保険山梨病院,産婦人科
pp.327-333
発行日 1982年4月10日
Published Date 1982/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206608
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腟原発性の癌は女性性器癌のうち1〜2%以下の頻度である1,2)。そしてこれらは通常大部分が扁平上皮癌であり,Endodermal Sinus Tumorに関しては稀有な疾患とされ,諸外国において数例の報告3,4)があるのみであり,本邦においての報告はみいだされていない。約30年以上にわたる研究の末,G.Teilumは,これまでSchillerによる"Mesonephroma"と命名されてきた腫瘍の中に,組織発生,組織型,好発年齢,臨床経過に関して明らかに異なった範疇のものが含まれていることをみいだし1946年5)それはmesonephric remnantによるものではなく,Germ cell起源であるEndodermal Sinus Tumorであるとし,Germ cell腫瘍の分類中特殊なentityを確立したのである。
今回,生後4ケ月の乳児の腟に発生したまれなこの腫瘍を経験したのでここに報告し,本症例の細胞学的,組織学的所見と,さらにこの腫瘍の歴史学的背景,治療法,予後などにつき,文献的考察も加え,若干の知見を述べてみたい。
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