原著
尿中エストリオール簡易測定法の検討とその臨床応用
田川 博之
1
,
森 淳躬
1
,
小池 敏明
1
,
三浦 清巒
1
Hiroyuki Tagawa
1
1長崎大学医学部産科婦人科学教室
pp.149-153
発行日 1975年2月10日
Published Date 1975/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205142
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
妊婦尿中に大量のestrogenとくにestriolが排泄されることは衆知のことであるが,Bolté1),中山2)らにより,そのcstriol生成には胎児副腎,胎児肝および胎盤が関与していることが明らかにされた。以来,妊娠中に尿中estriolを測定することは,胎児胎盤機能をみる重要な指標になることがわかつた。しかしestriol測定法は煩雑であり,中山3),Brown4)らにより,その簡易化の工夫がなされはしたが,なお大学や大病院でも,とくに興味を持つている研究者以外には妊婦の尿中estriolをroutineに測定している所はないようである。
1970年,神戸川5),鎌田6)らは合成吸着剤AmberliteXAD−2をポリ滴瓶に入れることでestriolの測定を簡易化した,いわゆるE3—Kitを考案し,estrogenの測定を研究室レベルから検査室レベルへ変えることに成功した。そこで私どもは,本キットを基礎的に検討し,臨床応用が可能であることがわかつたので,臨床データーを含めて報告する。
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.