指標
ステロイドホルモンレセプターの機能に関する研究—特にtransformationを中心に
佐藤 芳昭
1
,
竹内 正七
1
,
T. W. Hutchens
2
Yoshiaki Sato
1
,
Shoshichi Takeuchi
1
1新潟大学医学部産科婦人科学教室
2ベイラー医科大学産婦人科学教室
pp.7-13
発行日 1988年1月10日
Published Date 1988/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207711
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ホルモン研究史上,血中ホルモンの微量測定法であるradioimmunoassay法(RIA)の確立は画期的なことであり,これにより多くの疾患の病態の解明と,その治療に恩恵を与えたことは確かである。しかし免疫学的測定法のもつ宿命として,その測定値と生物学的活性値が必ずしも一致しない場合も多く,ここによりよく内分泌現象を解析するための方法論の一つとしてhormone recep-tor assayが出現してきたわけである。現在では乳癌や子宮体癌などのホルモンのtarget organの癌に対して,receptorの存在の有無によって術前・術後のホルモン療法の適否が決定されるような,臨床的役割りをも持つようになっている。
しかし乳癌患者の癌組織中のエストロゲンレセプターが陽性であっても,ホルモン療法に反応を示す例は50%にすぎず,また再発時には無反応になる例が大部分であるなど,組織中レセプターの存在と,ホルモン療法への反応性は必ずしも一致しないことが判明し,レセプターとホルモンの結合以後の解析(post receptor system),すなわちレセプターの機能面へと研究は発展しつつある。本稿においては,わたくしたちが現在行っているステロイドレセプター(以下SRと略)のtransformationの面から主としてみた機能と構造の解明および臨床との関連などについて概説してみたい。
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