Modern Therapy リスク症例と分娩
体質・体型異常と分娩
福島 穣
1
Minoru Fukushima
1
1名古屋保健衛生大学産婦人科学教室
pp.99-103
発行日 1981年2月10日
Published Date 1981/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206386
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体質異常を伴う妊婦に遭遇する機会は,決して多くはないが,アレルギー性疾患の代表と見做される気管支喘息例の頻度は割と高い。
器官形成期を過ぎた妊婦の取扱いは,内科専門医との共同管理で充分対応できるので本稿では触れない。枯草熱を含む鼻アレルギーは「くしゃみ」,眼瞼周辺部皮膚掻痒,水様性鼻汁,鼻閉などを主訴とする頑固な疾患ではあるが分娩自体には深刻な影響をもたらすものではなく,Polaramin復効錠(1錠6mgを1回量として1日2〜3回内服),Pyribenzamine (1錠50mgを1回量として1日2〜3回内服),Intal (1カプセル20mgを1回量として朝,昼,夜及び就寝前の4回吸入器を用いて鼻腔内噴霧)などの対症療法で充分な場合が殆んどであるが,耳鼻咽喉科の専門医と協議し特異的減感作療法を根気よく行なう場合もある。von Recklinghausen氏病(汎発性神経線維腫症)の場合,単一の優性遺伝子による発症が想定されているので,本来妊娠自体が望ましいものではなく,諸家の報告でも自然流産や死産が多いとされているが,母体においても妊娠による症状の増悪が起こり易い。
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