Japanese
English
初心者講座 胃X線検査のポイント―私の精密検査法
4.体型および胃の形による工夫
Detailed Radiological Examination of the Stomach (4)
馬場 保昌
1
Yasumasa Baba
1
1癌研究会附属病院内科
pp.579-582
発行日 1991年5月25日
Published Date 1991/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102545
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
X線的な微細病変の描出にはいろいろな因子が関与している.基本的な因子には,①被写体,②X線装置の性能(感材系も含めて),③造影剤や空気の質,④撮影手技がある.それぞれの因子が複雑に絡み合う.ここでは,それらの中で,①被写体と④撮影手技の関係から生じる問題点を取り上げてみることにする.①の被写体因子は更に(a)胃内容液の質や量,(b)体型や胃の形,(c)病変の部位,大きさ,形,(d)年齢や既往疾患などの因子に分けられる.まず,(a)胃内容液の質や量は,造影剤の粘膜面への付着状態の良し悪しを左右し,微細病変描出に大きく影響を与える因子の1つである.これは,被写体因子の中でも撮影手技以前の共通した前処置の問題でもある.したがって,撮影手技の難易に影響を与える被写体因子は通常,(b)の体型や胃の形と,(c)の病変の部位,形,大きさということになる.特に,(b)の体型や胃の形の中では,肥満体の胃や瀑状胃あるいは下垂胃がよく問題になる.これらは,(c)の病変の部位よっては病変描出が手技的に難しくなるからである.一般に,肥満体の胃や瀑状胃では前壁二重造影(腹臥位),下垂胃では小腸陰影と重なりやすい体部小彎から後壁を中心とした二重造影や圧迫検査が問題となろう.
以上のようなことから,ここでは精密検査の立場から①前処置,②肥満体の胃や瀑状胃の前壁二重造影,③下垂胃の後壁二重造影と圧迫検査について,経験的な事柄を述べることにする.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.