Modern Therapy リスク症例と分娩
糖尿病妊産婦の管理
杉山 陽一
1
,
小塚 良允
1
Youichi Sugiyama
1
,
Yosimasa Kozuka
1
1三重大学医学部産婦人科学教室
pp.95-98
発行日 1981年2月10日
Published Date 1981/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206385
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妊娠がdiabetogenic factorの一つであることは,衆知の事実である。実際妊娠中には,尿糖の出現頻度は高率であり,また偶然糖尿病が発見されることもある。また糖尿病を含む糖代謝異常婦人が妊娠した際には,しばしば臨床病像の増悪傾向がみられる。一方,糖尿病妊婦では,妊娠中毒症をはじめとする種々の合併症が発症しやすく,児の周産期死亡率の増加もみられるところからhigh risk pregnancy,high risk babyとして,その妊婦管理をめぐる諸問題について今日まで多くの報告がみられている。
妊娠時には,性steroid hormoneの著しい増量,胎盤からのpolypeptide hormoneの多量分泌をはじめとして著明な内分泌動態の変化がみられている。また胎児の急激な発育に伴う蛋白質,糖質,脂質および無機質などの物質代謝の亢進がみられており,非妊時に比べると代謝変調の程度が増強している。特に糖尿病を合併した妊婦ではその代謝環境も変化しやすく,妊娠,分娩に際して種々の異常を惹起しやすい。
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