コーヒーブレイク
横須賀ストーリー [3]米国人の体型について思う
伊藤 機一
1
1神奈川県立保健福祉大学人間総合・専門基礎
pp.255
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103992
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2005年7月25日から6日間,米フロリダ州オーランドで開催された全米臨床化学会・国際臨床化学会合同会議に出席した.久々の渡米であったが,まず驚いたのは米国人の20%ほどが“KONISHIKI”風の肥満者であったことだ.性・年齢・人種を問わずである.わが横須賀市にも米兵やその家族が多いが,肥満者は2%にも満たない.最近,“メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)”が世界的に重視され,“要注意”の診断基準の冒頭が内臓脂肪の蓄積(日本国内基準:ウエストサイズが男性85cm 以上,女性90cm以上)であるのがよく理解できた.会議,展示会は大盛況で,日本のように医療を単に“消費”として位置づけるのでなく,“国力への投資”とする姿勢が強く感じられた.
学会参加前に憂うつなことが一つあった.展示会場で最大ブースを占める米大手某メーカーとの会見不履行の件である.会場で本国のリーダーと会いたいので対処して欲しいという筆者の希望が簡単に“ノー”となったのである.日本臨床検査標準協議会(JCCLS)尿検査部会が5年越しの討議で決着させた尿試験紙法(蛋白・糖・潜血)1+濃度の統一化作業(2003)は,米本国関係者の決断があって成就されたことに対し直接謝意を表したかったのだ.アメリカは世界標準のリード国家だ,勝手に口出しするな,といった冷ややかな天の声を感じての渡米でもあったのだ.
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