特集 手術とFunctional Anatomy
Ⅴ.卵管の手術
卵管形成術
木下 佐
1
Tasuku Kinoshita
1
1東邦大学医学部産婦人科学教室
pp.877-880
発行日 1978年11月10日
Published Date 1978/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205941
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
卵管形成術は障害された卵管疏通性を修復して妊娠を成立させることを目的とする手術であるが,卵の摂取および輸送に関する卵管の構造,機能は極めて複雑かつ繊細なものであり,手術操作をよほど慎重に行なわないと所期の目的を達し得ないばかりか,時としてはかえって妊孕性を低下させる結果になることもある。たとえば内腔の通過性は保たれている卵管に対する周囲癒着剥離のごときは形成術としてはもっとも簡単なものであるが,不注意な剥離操作や周辺腹膜に対する無用の刺激が,術後より高度の癒着を来たすことになり兼ねない。残念ながら現在卵管形成術の成績は決して満足すべきものではないが,手術手技はもちろんのこと,適応の決定から術後処置に至るまで卵管の機能的構造に留意した細心の注意を払うことにより,少しでも妊娠率を高める努力が必要である。
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.