特集 産婦人科手術のポイント
V.手術手技--婦人科
卵管形成術
鈴木 秋悦
1
1慶応義塾大
pp.976-977
発行日 1975年12月10日
Published Date 1975/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205300
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不妊婦人の約40%に卵管障害が認められるといわれるが,不妊婦人1,583例については子宮卵管造影法を行なつた坂倉の成績によると,両側卵管閉鎖症は219例(14.23%)で,さらに,疎通障害の870例を加えると1,089例(70.8%)となり,不妊因子の大部分を占めていることが明らかにされている。なお,両側卵管閉鎖症79例中56例(70.9%)に結核の既往,とくに結核性腹膜炎後の閉鎖は29例中15例(51.7%)でもつとも多く,既往手術としては,子宮内容除去術後の両側卵管閉鎖が67例中16例(23.9%)で最大の誘因となつていることが報告されている。最近の高野の報告でも,卵管形成術施行37例の既往として,虫垂突起摘出術,付属器炎,腹膜炎,肺結核などが明らかとされている。
これらの卵管障害の観血的治療法としての手術法に関しては,症例の選択,手術の適応の決定など,術後のfollow upの成績を含めて効果の判定は,術者の技術とも関連して難しい問題であり,術後の妊娠率などについての比較は非常に難しい。しかし,婦人科手術のともすれば摘出術に流れる傾向の中にあつて,卵管形成術は術後機能を目的とする手術として,今後ますます注目を浴びることは疑いがない。
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