特集 手術とFunctional Anatomy
Ⅳ.子宮の手術
子宮の形成手術
藤原 幸郎
1
Yukio Fujiwara
1
1東京医科大学産科婦人科学教室
pp.843-844
発行日 1978年11月10日
Published Date 1978/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205931
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Ⅰ.手術の適応
子宮奇形に対する手術は,その機能に異常がある場合以外は通常その適応ではなく,生殖機能を正常にするために行なわれる。副角等の溜血腫等のある場合は摘除手術も行なわれるが,これはむしろ例外に属するわけで,この意味では機能回復の手術の典型といえる。
子宮奇形のうち索状子宮等の子宮腔を欠くものについては機能回復の方策はない。子宮腔を有する奇形のうち中隔子宮,分離重複子宮が成形手術の対象となるが,このような子宮を有する婦人でも成熟児を得ることができるものが少なくない。この場合は奇形があるだけでは手術の適応ではない。子宮の重複奇形を有する婦人の流早産率は正常婦人よりも著しく高いとの報告も多い。流早産の原因は必ずしも解明されてはいないが,一応子宮腔の広さが胎児のために十分でないこと,またはその変形によると考えられるから,左右に分離している子宮腔を合一して十分の広さを得るための手術が考案され,成形手術により流早産率を改善されるとの報告が多い。
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