特集・Ⅱ 産婦人科形成手術・Ⅰ
直腸利用造腟術
藤原 幸郎
1
,
小坂 順治
1
,
小松 良竹
1
,
土屋 新一郎
1
Yukio Fujiwara
1
1東京医科大学産婦人科学教室
pp.1131-1138
発行日 1971年11月10日
Published Date 1971/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204520
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膣欠損症は婦人の性障害のうちの最も深刻なものといえる。特にこのような婦人は染色体検査にも性染色体はXX型であり,卵巣機能も正常で,二次性徴,三次性徴も正常の発達を示している場合が大部分で,無月経あるいはそれに加えて周期的な下腹痛を訴えて受診する婦人が多い。したがつてこのような婦人に性交可能で退縮することのない腟を与えることができれば,不妊である以外は正常の性機能を有することができるわけで,人工造腟術はこのような婦人を対象として行なわれる限り,患者にとつては極めて有難い人道的な手術といえる。
人工造腟術の術式は種々あるが,術式の優劣は形成された人工腟が自然に近くかつ退縮しないこと,施術が安全であること,施術による副障害のないことなどによると考えられる。著者はこの立場から,極めて優秀な人工腟を得られる直腸曠置法であるSchubeat法を改良した中山法に,さらに一部に改良を加えた変法を発表したが,最近その方法の一部に多少の手直しを加えて実施しているので,その術式および特に留意すべき点などを紹介し,術後患者のfollow upその他について記述することとした。
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