特集 産婦人科手術のポイント
V.手術手技--婦人科
腟異常の手術
藤原 幸郎
1
1東京医科大
pp.984-985
発行日 1975年12月10日
Published Date 1975/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205304
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腟異常と一口にいつてもきわめて多種の異常が存在するからその手術についても一つの術式が確立されているわけではない。そしてすべての腟異常の手術に共通したポイントをあげることは困難といえるが,あえてあげるとすれば腟の組織と周囲の器官の組織を確認し,これを別々に分離して切開縫合を行なうということになる。特に直腸などの消化管系,膀胱・尿道などの泌尿器系とは密接な関連を有し,これらを損傷して修復を怠たれば瘻管を作つて不快な後遺症を残すことになる。これらの器官との関連,つまり局所解剖を十分理解することが第1の条件である。腟壁の厚さは約3mmで外層から結合織,筋層,粘膜層からなり,この各層は分離することはできない。この種の器官としては比較的丈夫な組織で,もちろん個体差があり,年齢などによつても異なるが,子宮全剔時腟断端を頭に入れればよく理解できると思う。
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