今月の臨床 あなたにもできる 最先端の婦人科手術
子宮腺筋症に対する子宮温存手術
長田 尚夫
1
1Shinjuku ARTクリニック
pp.686-698
発行日 2014年7月10日
Published Date 2014/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103825
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●子宮腺筋症摘出術は,病巣の摘出程度に比例して一定の臨床症状の改善が認められるが,広範囲な重症子宮腺筋症では病巣を徹底的に摘出すればするほど子宮筋の欠損が大きく,子宮壁の再建が困難となるばかりでなく,術後妊娠時の子宮破裂などの周産期合併症発症率が高くなる.
●子宮筋3重フラップ法による子宮腺筋症摘出術は,重症子宮腺筋症に対して子宮壁再建に必要な最小限の子宮筋を残して徹底して病巣を摘出し,臨床症状の改善と妊孕性温存,特に妊娠に耐える子宮壁の再建を目的とした術式である.
●本術式の特徴は,(1)子宮壁の創傷治癒を考慮して,切開創の組織変性のないコールドメス(円刃または剪刃)を用いている,(2)子宮壁の菲薄化を避けるために,残された健状子宮筋を3重に重ね合わせて子宮壁を再建している,(3)術後妊娠時の瘢痕部子宮破裂予防のために子宮壁形成術の縫合線を1本から異なった部位で縫合し3本にしているなどである.
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