新しい視点をさぐる 薬物療法のBlind Spots
新生児黄疸(高ビリルビン血症)における薬物療法
荻田 幸雄
1
,
野間 英晴
1
Sachio Ogita
1
,
Hideharu Noma
1
1大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
pp.363-366
発行日 1978年5月10日
Published Date 1978/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205833
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特殊な病型をのぞいて間接型ビリルビンの上昇を特徴とする新生児黄疸は,児が胎外環境に適応する過程において,必然的に乗り越えねばならない関門の一つである。近年ビリルビン代謝,特に新生児におけるビリルビン代謝機構に関する急速な知見の集積によって,新生児黄疸発症の要因が赤血球の過乗崩壊と,児肝のビリルビン処理機構の未熟性によることが明らかにされるとともに,治療の方向も交換輸血療法から薬物療法へと転換されるかにみえたが,光線療法の出現は効果の確実性,迅速性,および簡便性のために黄疸治療の主役をなすにいたり,薬物療法の位置づけは急激に下降してきた。その最大理由としては,効果の不確定性にあるが,交換輸血,光線療法の理学的療法と効果発現機序が質的に異なる薬物療法の臨床的価値は再度検討さるべき余地を多く残している。
この観点から,今日の高ビ血症の薬物療法について,理論的根拠ならびに臨床上の問題点につき考察を加え,併せて今後の薬物療法のあり方について言及してみたい。
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