新しい視点をさぐる 薬物療法のBlind Spots
ショック時における薬物療法
寺尾 俊彦
1
,
尾池 純子
1
Toshihiko Terao
1
,
Junko Oike
1
1浜松医科大学産科婦人科学教室
pp.367-369
発行日 1978年5月10日
Published Date 1978/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205834
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ショックとは,急性の全身的な末梢循環不全であり,その結果,広範にわたって組織が無酸素症になった状態をいう。産科でみられるショックには,出血性(虚血性),敗血症性,血管内血液凝固症候群,薬物によるものなど各種のショックがあるが,ショックが進行すれば,いずれのショックも同じような病態となる。すなわち,全身の末梢循環不全=組織の無酸素症である。かつては,いずれのショックの治療にもノルアドレナリンなどのα作用物質が投与された。ノルアドレナリンには,血管収縮作用があり,血圧を上昇させる作用があるが,末梢循環を障害するので,現在では,ペニシリンショックの初期など,末梢血管拡張期を除いては使用されない。現在のショック治療方針では,いかに末梢循環を良くするかが重要であると考えられている。
ショックになると,いずれのショックでも図1の悪循環が開始する。この悪循環を断ち切るためには,循環血液量を十分に満たし,末梢血管の流れをスムーズにすることである。
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